もくの木ブログ
2017.03.29
♣ 産後の悩みと鍼灸ケアについて ②
〈東洋医学に基づく産後鍼灸ケア〉
子宮の戻りが遅れる、悪露がいつまでも続く、産褥熱が出る、また、乳腺炎や膀胱炎、マタニティーブルーや産後うつなど、産後の悩みを見てきましたが産褥期の経過は人によってさまざまです。
〈なぜ、産後の肥立ちが良い人もいれば、悪い人もいるのでしょうか?〉
その違いは、その人の治ろうとする力、すなわち自己治癒力の強さによるのです。
自己治癒力とは、病から身体を守る免疫力や傷の修復能力、細胞が生まれ変わる再生能力や憂うつや落ち込んだ気持ちから立ち直る力などを言います。生命を維持して健康に生きていくために必要な力を総称して自己治癒力と言います。全ての人の身体に本来備わっているものです。
そして、出産後、元の身体に戻ろうとする回復力もこの自己治癒力の1つです。
〈では、なぜ自己治癒力は低下してしまうのでしょうか?〉
東洋医学では昔から「冷えは万病の元」と言われてきました。冷えは、人に本来備わっている自己治癒力を低下させてしまいます。みなさんの身体には疲れが必ずたまっています。疲れとは、仕事の内容、人間関係、食生活、生活習慣、これまでにかかった病気やけが、交通事故などが元になるものです。
そして、これらの要因が重なり合いながら、気血の流れ(血流)にかたよりやとどこおりが起こり、だんだんと身体の芯が「冷え」、自己治癒力が低下していきます。この冷えを「根元的な冷え」といい、様々な病の根本原因と考えています。近年、現代医学においても、免疫力の低下や自律神経の乱れが冷えと関係していると言われるようになってきました。
〈妊娠・出産は身体にとても大きな負担となります〉
特に出産にともなう出血や体力の低下は、気血の流れ(血流)に乱れを起こし、一時的に大きな「冷え」を生じます。そして、自己治癒力(回復力)が低下し、子宮復古不全を招いたり、悪露がいつまでも続いたり、菌への抵抗力が落ち膀胱炎や乳腺炎、産褥熱が出たりするのです。また、「冷え」は精神面にも影響が及び、産後うつを招くこともあります。
〈産後の鍼灸治療とは〉
鍼灸治療とは、「人が本来持っている自己治癒力がきちんと働くように導くこと」です。
産後、辛い症状が起きるほど低下してしまった治癒力は、自分の力だけでは回復が難しい場合があります。鍼灸治療はこの治癒力がきちんと働くように手助けをします。心と体が元気になる鍼灸治療は、産後ケアにとても適した治療法です。